不当要求の手口と対応要領

暴力団対策法の施行を契機とした暴力排除気運の高まりと警察の取締りの一層の強化により、暴力団は、社会から孤立しつつありますが、民事介入暴力や行政対象暴力等を多数敢行するなど、その資金獲得活動を一層多様化・巧妙化させています。
 その手口は、日常生活や経済取引を装って市民に近づき不正な利益を上げようとする民事介入暴力や、政治活動若しくは社会運動を仮装し又は標ぼうするなどして、企業に対して不当要求を行う企業対象暴力、地方公共団体等の行政機関又はその職員を対象として違法又は不当な行為を行う行政対象暴力など、不当要求を行う相手ごとに手を替え品を替えするなどして、巧妙かつ悪質な罠を仕掛けてきています。

  1. 1 暴力団員等との対応の基本

    暴力団員等からアプロ−チがあった場合、対応の基本的な心構えを教えて下さい。
    皆さんが、暴力団員等から何らかの被害を受けた場合に、警察に届出や通報をしなかったら、被害が潜在化して、警察が暴力団員等を取り締まることができません。
    また、彼らは、いったん味を占めたが最後、警察に捕まるまで、何度でも要求を繰り返してきます。
    暴力団員等から不当な要求があった場合には、次のようなことに注意して下さい。
    1 相手をよく確認する。
    • 相手方の氏名、所属団体、所在地、電話番号等を確認して下さい。
    2 面接する場所は、会社の管理が及ぶ範囲内(自社応接室等)を選ぶ。
    • 相手から呼び出しがあっても、指定場所に出向いてはいけません。
    3 対応は担当者が行う。
    • 平素から、暴力団員等の対応の担当者を決めておき、担当者は、暴力団員等の実態や要求の手段及び対応要領等の知識を身につけておいて下さい。
    4 相手方の要求に即答、約束をしない。
    • 暴力団員等は、詫び状・念書などを書かせようとしますが、理由のない書類は新たな脅しの材料になりますので、書かないで下さい。
    5 特別の事情のない限り、こちらから相手に電話をしない。
    • こちらから電話をするということは、相手につけいる隙を与える結果になります。
  2. 2 具体的な対応

    暴力団員等との対応は、具体的にはどのようにすればよいでしょうか。
    暴力団員等による脅しは、個人生活や企業活動の死活問題になりかねません。不当な要求は断固拒否するという毅然とした態度で臨むことが大切です。
    1 暴力団員等との対応は複数で行う。
    • 対応は必ず二人以上で行って下さい。
    2 相手の要求は、録音やメモで証拠化しておくこと。
    • 話の内容は、面談の場合でも、電話の場合でもできるだけ録音するか、詳細にメモしておきましょう。
    • 証拠化することで、相手が文句をいうときは、「上司に話の内容を正確に報告するため」と言えばよいでしょう。
    3 相手の要求、用件を確かめること。
    • 相手の話はよく聞き、その趣旨目的を明確にしておきましょう。
    4 言動には特に注意すること。
    • おびえず、慌てず、ゆっくりと、相手の挑発に乗ってはいけません。
    • 「検討する」とか「考えてみる」等相手に期待を抱かせるような発言をしてはいけません。
    • 誤った発言をした場合には、その場で速やかに訂正しましょう。
    • 返事の仕方に困った場合には、「弁護士又は警察や県民会議と相談した上で返事をします。」と答え、早く警察・県民会議へ相談しましょう。
  3. 3 機関紙(誌)等の購読要求対応マニュアル

    電話がかかってきたとき(応対の方法)
    • 相手を確かめ、用件をはっきり聞く。
    • トップが直接交渉せず、担当者が対応する。
    • 不要と判断した場合は、「必要ありません」ときっぱり断る。断る理由を告げる必要はない。
    • 本題以外の議論にのらない。
      「機関紙(誌)を買えということなら、お断りします」と答え、相手と無用な議論をしない。
    一方的に送り付けられたとき(返送の方法)
    • 送り主と現物の確認。
    • 開封前の返送。
      メモ用紙に「受取拒否」と記載し、受取人の名前を記載して押印した上、郵便物・宅配便の宛名面に貼付し、郵便局・宅配業者を通して返送します。
    • 開封後の返送。
      包装を解いた場合には、余計なトラブルを避けるため「内容証明郵便」や「配達証明郵便」等で、購読の意思がないことを明らかにした文書とともに返送して下さい。
  4. 4 クレ−ム対応

    クレ−ム対応の基本三原則
    • 先ず、クレ−ムの事実関係を確認する。
    • 正当なクレ−ムは誠実に対応する。
    • 過度なクレ−ムは拒否し、法的に対応する。
    具体的な対応要領

    悪質クレ−ムは、多種多様でその手口も業種によって異なり、千差万別です。
    悪質クレ−ムには、原則として、次の要領で対応して下さい。

    • (1)有利な場所で応対   (2)複数で対応          (3)相手の確認
    • (4)用件、要求の把握   (5)用件に見合った応対時間    (6)慎重な言葉の選択
    • (7)妥協せず、筋を通す  (8)詫び状などの書類作成は拒否  (9)応対内容の記録化
    • (10)警察への通報と県民会議などへの早期相談